日本列島の地形変位過程を「地形歪み図」を通して観る。

設定(仮定)条件::

日本列島は日々、ユーラシアプレートからの圧力(流れ)で西北西から東南東【方位角112.5°】(-67.5°)の方向へ(2cm~5cm)/year移動する。

一方、太平洋プレート・フィリピン海プレートがユーラシアプレートにもぐりこむ過程で、日本列島の移動方向に複雑な影響を与える。

特にプレート境界に沿った日本列島の太平洋側の地形に「歪み」が生じ、その「歪み」が内陸・日本海側にまで及び、

その「歪み」が内陸直下型地震及び海溝型地震を引き起こす原因となる。

結論::

「地形歪み」の解放過程から考えた場合、順序として巨大海溝型地震に先行し、内陸直下型地震が多発する。

「地形歪み率」は東西の圧縮度合を指すが、サイクルは巨大海溝型地震で「歪み」を開放し終息するが、

しかし、その巨大海溝型地震が周辺地域に「歪み」を増幅させることになり、地震の連鎖につながる。

地形歪み図の見方::

日々のGNSS観測時間  UTC 12:00 <===> JST 21:00

等位線<yellow>0mm <===> yellowに囲まれた太平洋側が太平洋プレート・フィリピン海プレートから受けた地形歪み率を表す。

等位線<red>±50mm <===> 太平洋側が+50mm・+100mm…..日本海側が -50mm・-100mm…..の地形歪み率を表す。

等位線<silver>±10mm <===> 活断層の位置を<マゼンダ>で描画する。

①1998年4月1日 ==> 2003年9月26日(十勝沖地震[M8.0]) : 前日までの地形歪み

十勝沖地震前_ok


星印は十勝沖地震の震源位置を示す。

震源位置は黄色線の太平洋側にあり、太平洋に沿う陸側が
太平洋プレートの影響を受けていることが分る。
十勝沖ライン


更に、北海道南西沖地震(奥尻島地震)【1993年7月12日】の震源位置
有珠山噴火【2000年3月31日】の位置
十勝沖地震【2003年9月26日】震源位置が直線上にあり、
且つ、ほぼ西北西-東南東の方向に一致している。

1998年4月1日 ==> 2011年3月11日(東日本大震災[M9.0]) : 前日までの地形歪み

震災前夜_ok
星印は東日本大震災の震源位置を示す。

震源位置は黄色線の太平洋側にあり、太平洋に沿う陸側が太平洋プレートの影響を受けていることが分る。

宮城沖地震(2003.7.26)直下型地震から東日本大震災(2011.3.11)海溝型地震の地形歪み方向(方位角112.5°)と震源位置の関係を見ると、北限(岩手県沿岸北部地震震源位地から 方位角112.5°)と南限(能登半島地震震源位地から 方位角112.5°)の間に本震、余震が集中していることが分かる。

また、宮城・岩手内陸地震震源位置と東日本大震災震源位置を直線で結ぶと歪み方向(方位角112.5°)に近似する。
東日本大震災と震源位置の関係


各観測点に変動ベクトルの変位量を与えたことにより地形歪みを点から面に捉えることができた。

また、基準日を統一することにより異なる比較日でも時間の流れを切ることなく日本列島が歪んで行く過程を描ける。
東日本大震災と震源位置の関係


しかも、観測における平均値を使用しないことから、観測値に突然位置変位量(面・点)を発見(±30mm)した場合でもその信憑性が判断できる。

ただ、地殻変動を伴わない地域は基準日を変更しても概ね近似した図形になるが、大きな地殻変動を受けた地域では選定する基準日により、変動の前後で図形が大きく変わる。

基準日は「型抜き」の「型」のような物であり、その選定が課題でもある。

③山陰地方・紀伊半島・四国地方の地形変位(東日本大震災 前日までを描画)

東海地方_山陰地方_四国地方_赤抜き
(a)ユーラシアプレートが西北西からの圧力(流れ)に対し、プレート境界線でフィリピン海プレートの圧力と、しのぎ合いながらユーラシアプレートの流れが大きく右旋回し、同時に、東海地方からの流れに合流する形で、紀伊半島南端・室戸岬にかけてプレート境界線に対し並行に、日々地形変位している様子が読み取れる。
(尚、足摺岬において状況が異なるで次図で詳解する。)
(b)東日本大震災 (2011年3月11日)が各電子基準点の位置変位に影響を与えていることから、1998年4月1日から2011年3月10日までを描画するにとどめた。
(注)青色の大きさ(長さ)は各電子基準点の観測開始日が異なるため、見方に注意が必要である。

④山陰地方・紀伊半島・四国地方の地形変位(東日本大震災の影響を描画)

東海地方_山陰地方_四国地方
赤色の点は2011/03/11(GPS観測時間 JST [21:00])から始まっていることから、東日本大震災(JST [14:46])が各電子基準点の位置変位に影響を与えているのがわかる。
(注)青色の大きさ(長さ)は各電子基準点の観測開始日が異なるため、見方に注意が必要である。

⑤山陰地方・四国地方・九州地方の地形変位

九州地方_四国_山陰
凡 例
A:フィリピン海プレートの影響を受けている地域
B:A・C両プレートの影響を受けている地域
C:ユーラシアプレートの影響を受けている地域
(a)室戸岬から足摺岬にかけてフィリピン海プレートからの影響を大きく受けている。
(b)足摺岬は九州地方からの圧力(流れ)がある中で 【土佐清水(940085)】だけがフィリピン海プレートの圧力(流れ)を大きく受け、また、室戸岬を経由した右旋回の流れが足摺岬で収束していることが読み取れる。
(c)B地域の中で【久万高原(041132)】の変位量が他と比較して大きい。