熊本地震に至るる電子基準点【熊本960465】が辿った28時間の軌跡
2019.12.20 更新
左図(図1)は熊本地震に至る先駆的地形変位を時系列順に電子基準点位置の変位ベクトルで表している。
使用データは「GNSS定時観測(JST 21:00)日々の座標値」の【2016年4月13日・14日・15日・16日】を
三次元座標から二次元(水平投影)座標に変換し、基準日(4月14日)からの差分値(Δx、Δy)を図示した。
三次元座標から二次元(水平投影)座標への変換は国土地理院【測量計算サイト】でできる。
(但し、変換座標をプロットする際は「測量における象限が北から時計回りにⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」であり、
数学の象限と異なること、及びX座標軸・Y座標軸が逆になることにも注意が必要。)
地震(じしん、英: earthquake)という語句は、以下の2つの意味で用いられる。(Wikipediaより)
1.地震学における定義: 地球表面を構成している岩盤(地殻)の内部で、固く密着している岩石同士が、
断層と呼ばれる破壊面を境目にして、
急激にずれ動くこと
。
これによって大きな地面の振動が生じこれを地震動(じしんどう)という。
2.大地のゆれ: 地震動のことで一般的にはこちらも「地震」と呼ばれる。
「地震」(なゐふる)という語句は『日本書紀』にも見え、その他古文書の記録にも登場するが、
これらは今日の地震学における地震動のことであり、また「大地震」、「小地震」などと共に震度の程度を表すものでもあった。
左図(図2)は国土地理院が公開している「平成28年熊本地震に関する情報の一部
緊急GNSS観測の結果【5月11日16時50分更新・暫定】
」図である。
図1と図2を比較した場合、図2の変位ベクトルは図1の
緑色
と
赤色
変位ベクトルを足し合わせた変位量に相当する。
であるとすれば、4月14日と4月16日の変位位置を直線で結び、電子基準点【熊本】の4月14日から15日にかけて、
ゆっくり変位している最も重要な先駆的事象(仮称:地震場)を見落としているのではないか?
この疑問に3年間、各電子基準点の時系列に沿った位置変位計算を試行錯誤し、以下の結論に達した。
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図2は今回の熊本地震における電子基準点【熊本・長陽】の変位が際立って見えることから、
【熊本・長陽】の「横ずれ断層地震」とした破壊力を表現したかったのだろう。
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<見落としている>とした理由
①図1から【熊本・城南】の
緑色変位ベクトル
の大きさが際立ち、しかも震源・震央に近いこと。
また、【長陽・菊池・泉】が
赤色変位ベクトル
が卓越していることが読み取れる。
②①後段から【長陽・菊池・泉】の緑色が短く、更に、緑色・赤色変位ベクトルが直線的な動きに見えることから、
急激にずれ動いたと思われる。
③①前段から【熊本・城南】の緑色変位ベクトルと赤色変位ベクトルの方向が直線上に無く、右へ折れている。
④「③の事象は「自転している地表(球面)をずれ動く方向へ緩やかに変位しつつ、
その変位スピーに合わせるように沈降する過程を図化(数式化)する」ことで説明できると考えた。
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<④の検証方法>
1. 国土地理院が配信しているGNSSデータを使用する。
2. 電子基準点【熊本】
<==>
【城南】
<==>
【長陽】の三次元座標から二次元座標と標高に変換した成果を表示。
3.【長陽】の変位が直線的であることから、時系列に沿った座標値を推定することが可能である。
4.【熊本】の時系列に沿った三次元座標値を推定するため4月14日・15日・16日の座標値から(X,Y)値とZ値を
合成したダイアグラムを作成する。(ここが一番の難所::熊本と城南が同じ手法で作成できている。)
5.時系列に沿って自作のソフトで「【長陽・熊本】間の基線解析」をおこなう。
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<得られた事柄>
a.【長陽】の時系列による三次元座標値は予想した通り単純明快であった。(分かるまでの道のりが長かったが)
b. 因って、【熊本】の三次元座標値は与点を【長陽】にできることがわたってから順調(?)に推移した。
c.
その結果【熊本・長陽】間の基線長が本震に至るまで徐々に、そして確実に距離を縮めていることが分かった。
④の検証==>OK
d. 【熊本】と【城南】は並進しながら進んでいるように見えるが、変位量を比較すると【熊本】が勝っていた。<<熊本地震は双子?>>
e.
【長陽】と【熊本】のベクトルの差が地表に現れた食い違い(断層亀裂)に近似している。
f. ③は【熊本】が左折れ、【城南】が右折れに訂正。
理由::
「電子基準点【熊本950465】が辿った28時間の軌跡」
と
【熊本県土地家屋調査士会:熊本地震による地表の動き】
から判断した。
更に、電子基準点【熊本】【城南】の変位(変動)過程が【菊池】【泉】の変位方向に影響を与えたと考えられる。
特に、「電子基準点【熊本950465】が辿った28時間の軌跡」の
観測時間(UTC 2016/4/14 12:15)の変位位置を発見できたことで
種々多くの疑問点が自分なりに解明できたと思います。
あまりにも突飛な発想(地震学者の方々と異なった見解)からでた疑問点を解明していく中で、
全く他と異なった方法で検証できたと考えています。
今後、データ解析に「QZSSデータ」を取り込むことで、迅速、且つ、精度の向上が期待されると思います。
批判を恐れず、ここに掲載しました。
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